クラウドサービス
nRF Cloudは、Nordicの超低消費電力無線デバイス向けに最適化された一連のサービスを提供し、ライフサイクル全体を通じてIoT導入をサポートします。Nordicのデバイスをそのままサポートし、試験運用の数台から本番展開の数千台のデバイスまで、シームレスに拡張できます。nRF CloudはNordic社によってホスティングされ、24時間365日の可用性、保守、サポートを提供します。
Nordicはハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービスを提供することでIoTアプリケーションの市場投入までの時間を短縮し、開発・保守コストを削減する完全なソリューションを提供します。
位置情報サービス →
- アシスト型および予測GNSS
- シングルセルとマルチセル
- SSIDベースのWi-Fi位置情報
セキュリティ サービス →
- セキュアなアイデンティティ
- セキュアなプロビジョニング
デバイス管理 →
- オンボーディング
- 設定と監視
- FOTA (Firmware Over The Air)アップデート
nRF Cloudの利点
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低消費電力用にゼロから構築
超低消費電力はNordicのDNAに含まれています。ハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービス等、Nordicがお客様に提供するものはすべて、超低消費電力用に最適化されています。
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汎用的な接続サポート
nRF Cloudは、多様なユースケースやシステム アーキテクチャに適合するように、Device-to-CloudまたはCloud-to-Cloudのメカニズムでアクセスできます。
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スタンドアロンサービスと価格設定
サービスや機能を個別に選択できるため、ニーズに合わせた柔軟な導入が可能で、ビジネス規模に合わせた料金プランの選択が可能です。
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ライフサイクル全体をサポート
nRF Cloudのサービスは、生産から運用終了に至るまで、製品のライフサイクル全体にわたって活用することができ、独自のインフラに関連したコストを削減できます。
プロトコルに依存しないどんなニーズにも適応可能
nRF Cloudサービスを利用するには、主に2つの方法があります: Device-to-CloudとCloud-to-Cloudです。
- Device-to-Cloud: デバイスは双方向CoAPまたはMQTTでnRF Cloudに直接接続します。
- Cloud-to-Cloud: デバイスはお客様のクラウドにプロビジョニングされ、そのクラウドがREST API経由でnRF Cloudと通信します。これは、既に独自のクラウドを利用している場合に理想的であり、デバイス通信のワークフローをより柔軟に制御できます。
Device-to-Cloud
消費電力が最小
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デバイスはnRF Cloudに登録、プロビジョニングされます。双方向プロトコル(MQTTまたはCoAP)を使用してnRF Cloudに直接接続します。専用のアプリケーション クラウドがない、または分離しておきたい場合に選択します。
これは、NordicのデバイスとnRF Cloudサービスの深い統合を活用する、電力消費を最小限とするために理想的なアプローチです。
Cloud-to-Cloud
柔軟性が最大
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デバイスはお客様のクラウドに登録、プロビジョニングされ、REST API経由でnRF Cloudと通信します。
これは、独自のアプリケーション クラウドを持つお客様にとって理想的であり、単一経路を介した通信データの流れをより柔軟に制御できます。
CoAP
バッテリ寿命の延長
CoAP (Constrained Application Protocol)は低消費電力、高効率、セキュアなデバイスツークラウド接続を可能にする革新的技術です。UDP上で動作するため、LTE-MとNB-IoTの両方の接続で動作することが保証されます。DTLS 1.2接続ID (CID)拡張機能をサポートするため、デバイスのIPが変わってもDTLSハンドシェイクは不要です。
MQTTと比較してCoAPは電力消費量が極めて少なく、デバイスのバッテリ寿命を延長することができます。CoAPはオーバーヘッドを増やしてしまう接続を維持する必要がないため、データ送信間隔が長ければ長いほど省電力効果が高くなります。DevZoneブログでnRF CloudのCoAPインターフェイスを使用したバッテリ寿命の延長方法をご覧ください。
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位置情報サービス
位置情報サービスを使う理由
Nordicセミコンダクターは、バッテリ駆動の超低消費電力無線SoCのパイオニアです。NordicはBluetooth Low Energy製品で最もよく知られていますが、クラス最高のnRF9160 SiPも同じ超低消費電力DNAを備えています。この革新的なSiPとnRF Cloud位置情報サービスを使用すると、セルラーIoTベース製品のバッテリ寿命を延ばすことができます。
位置情報サービスは、デバイスが正確・迅速・効率的に自己位置を特定するための鍵です。Nordicのシングルセル(SCELL)、マルチセル(MCELL)、アシスト型GPS (A-GPS)、予測GPS (P-GPS)、Wi-Fi位置情報機能を利用することにより、デバイスは正確な位置情報をクラウドに送信する一方で、より長期間フィールドで動作できます。
位置情報サービスの利点
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地球上のどこでも利用可能
単純な追跡目的であれ、遠隔管理であれ、顧客への追加サービスであれ、資産が地球上のどこにあるのかいつでも把握できます。
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電力効率
アプリケーションに合わせて精度と消費電力の最適なバランスを見つけられるように、様々な位置情報機能を組み合わせて利用できます。
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用途の柔軟性
Nordicの位置情報サービスは非常にスケーラブルで、バックエンド アプリケーションや想定アプリケーションニーズに最適な各種ユースケースとの統合が容易です。
複数の選択肢最大限の柔軟性
nRF Cloudロケーション サービスは、高速かつ低消費電力で位置情報が必要なデバイスやカスタマー アプリケーションに使用できます。これらのサービスは、高性能で超低消費電力の製品を実現するため、Nordic製品向けに特別に設計されたものです。A-GPS、P-GPS、SCELL、MCELL、Wi-Fi位置情報機能を含みます。これらの機能の詳細は、nRF Cloud位置情報サービスのドキュメントをご覧ください。
これらの位置情報機能はすべて同じデバイスに実装でき、その時々の精度要件に応じていつでも利用できます。例えば、2つの場所の間を移動する資産を追跡する場合、資産が目的地に向かって移動中であると判断できれば、移動中の正確な位置は不要でしょう。その場合、シングルセルやマルチセル位置情報でも十分で、消費電力も最小限に抑えられます。資産が目的地に近づくにつれ、Wi-Fiネットワークが多く存在する都市部であればGPSベースの位置情報、さらにはWi-Fiを有効にして、より正確な位置を測定し、資産が目的地に到着するまで追跡できます。
A-GPSとP-GPS
通常のGPSは、アシストデータを衛星経由でダウンロードします(約50 bps)。スピードアップのため、NordicはA-GPSとP-GPSを提供し、LTE(約150 kbps)を使ってアシストデータをダウンロードします。
A-GPS over LTEでは、LTE経由で新しいアシストデータ (エフェメリスやアルマナック等)をダウンロードできます。通常のGPSよりTTFF (time-to-first-fix)が短いため、消費電力を削減できます。
P-GPS over LTEは、新しいアセットと最大2週間分の予測データをダウンロードします。予測アシストデータは最大14日間有効です。デバイス側での追加処理により、遠隔地でLTEが利用できない期間でも有効なアシストデータを提供できます。この便利な機能は、セルラーベースの位置情報サービスよりもLTEコストが低く済みます。
SCELLとMCELL
SCELLを使うと、小さな電力でデバイスの位置を特定でき、デバイスの電力をほとんど消費しません。これは屋内や無電源環境、GPSが不要な粗い位置情報の場合に非常に有益です。
MCELL: シングルセルとの主な違いは、複数のセルタワーを使ってデバイスの位置を三角測量することです。一度に最大17のセルタワーを使用できます。
Wi-Fi
デバイスは、近くのWi-Fiネットワークをスキャンします。接続はしません。2つ以上のアクセスポイントからWi-Fiネットワークの情報を受信し、その後nRF Cloudに接続してその情報を送信します。nRFクラウドは次に、様々なWi-Fiネットワークの座標を収めたWi-Fiデータベースを使ってデバイスの位置を計算します。デバイスの位置は、nRF Cloudからお客様のクラウドまたはデバイスに送信されます。NordicのWi-FiコンパニオンICであるnRF70シリーズは、nRF91シリーズデバイスと組み合わせると、この用途に最適です。nRF7000は、まさにこの用途のために設計者された専用ICです。Wi-Fiのアクティブ スキャンとパッシブスキャン両方をサポートしています。
その他のリソース:
Nordic技術ウェビナー: Wi-Fi位置情報の力を解き放つ - Nordic Chip-to-Cloudソリューション
位置情報サービスの比較
TABLE TBD
実例
フィールドテストを通して
私たちは、各種サービスで実際にどのような位置情報が得られるのか確認するため、テストデバイスを持ち出しました。GNSSで追跡された経路(緑色)は、最も正確なものとみなすことができ、セルラー(青色)とWi-Fi(赤色)ベースの位置情報の両方を表示しています。
ご覧の通り、セルタワーを基に位置情報を提供するセルラーは精度が低い一方、このような都市環境では、Wi-FiはGNSSに近い高精度の位置情報を提供できます。
GNSS vs CELL
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GNSS vs Wi-Fi
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セキュリティ サービス
セキュリティ サービスを利用する理由
すべてのクラウド接続デバイスは、クラウドに安全に接続するための認証情報を必要とします。デバイスのセキュアなプロビジョニングは複雑でコストがかかり、通常は独自のセキュアなインフラとプロセスを構築する必要があります。そのような問題を解決するため、nRF Cloudセキュリティ サービスは、セキュアなアイデンティティとそのまま使えるセキュアなプロビジョニングを提供します。
セキュアなアイデンティティ
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セキュアなプロビジョニング
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認証に使用できるセキュアで一意のデバイスIDを提供します。
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必要な認証情報とカスタム設定を使用して、デバイスをリモートで設定します。
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セキュリティ サービスの利点
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製造の合理化
Nordicのセキュリティ サービスを利用することで、独自の認証情報管理ツールを導入することも、工場で鍵を生成することも不要になります。これにより、製造工程がシンプルになり、コストを削減できます。
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世界中に展開できる製品
リモート プロビジョニングを利用すると、展開時にプロビジョニングできるため、地球上のどこにでも展開できる汎用製品を製造できます。
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ライフサイクル セキュリティ
キーのローテーション、新しい認証のロールアウト、クリーンな認証情報と設定により、展開後もデバイスのセキュリティを確保します。
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セキュアなアイデンティティ
製造工程で部品の出所を確認し、後にアプリケーション クラウドでそれらのデバイスを認証することは非常に重要です。NordicのnRF91シリーズSiPは、暗号学的に証明可能な一意のIDを備えており、最終製品の製造時に出所を確認するためにそのIDを使用できます。このサービスの詳細は、nRF Cloud IDサービスのドキュメントでご覧ください。
セキュアなプロビジョニング
最終製品の製造中にアプリケーション固有の認証情報を書き込むことは面倒なプロセスです。地域、顧客、アプリケーション、その他のパラメータに固有の構成ごとに異なり、SKUリストは長いものとなります。nRF Cloudのセキュア プロビジョニング サービスを利用すると、汎用デバイスを製造し、展開時に認証情報を受け取ることができます。このサービスの詳細は、nRF Cloudプロビジョニング サービスのドキュメントおよびDevZoneのブログ「 nRF Cloudリモート プロビジョニングを使ったスケーラブルなセルラーIoT展開」をご覧ください。
デバイス管理
デバイス管理が必要な理由
継続的な監視、効果的でセキュアな運用、適切な保守とアップデートを実施するために、全てのIoTデバイスフリートはライフサイクル全体を通して管理する必要があります。nRF Cloudデバイス管理は、この課題に対するNordicの答えです。弊社はチップからクラウドデバイス管理までのターンキー ソリューションを今すぐ提供できます。
Nordicは自社シリコンとソフトウェアを緊密に統合し、電力効率の高いデバイス管理クラウド ソリューションをお客様に提供しています。Nordicのサービスをご利用いただくと、市場投入までの期間を短縮し、IoTフリート管理を低コストで拡張できます。
デバイス管理がIoTデバイスの展開に必須である主な理由は以下の通りです:
- ライフサイクル管理: プロビジョニングから廃棄まで、IoTデバイスのライフサイクルを通して、データ、運用、FOTAアップデート等、さまざまな管理タスクが不可欠です。
- セキュリティ: 暗号化、認証、アクセス制御、定期的なセキュリティアップデートにより、デバイスとデータを不正アクセスや攻撃から保護します。
- 性能: 性能に関する問題を特定して対処し、デバイスが能力を最大限発揮できるようにし、必要に応じてアップデートや調整を可能にします。
- Scalability: スケーラビリティ: デバイスをフリートとして管理することは必須であり、特定の操作は常に多数のデバイスに対して同時に行う必要があります。
- 規制・コンプライアンス: 必要に応じてポリシーの適用、監査証跡の管理、報告や文書化を促することにより、コンプライアンスを確実なものとします。
nRF Cloudデバイス管理は、運用の切り離しとIoT DaaS (Data-as-a-Service)モデルを可能にします。既存のプロセスやシステムにシームレスに統合され、全デバイスデータの単一エントリポイントとして機能し、異なるデバイスやアプリケーション間でスケーリングします。運用データ (バッテリ残量や温度等)はIoTデバイスを運用する企業によって扱われ、アプリケーションデータ (ゴミ容器の満杯レベルなど)はそのデータを消費して業務を実施する企業によって扱われます。
デバイス管理の利点
コストの削減
あらゆるデバイス管理機能をスタンドアロンで簡単に採用できるため、ニーズに合わせたサービスバンドルを作成できます。
市場投入までの期間
デバイス管理は、nRF Connect SDK上のnRF Cloudライブラリを活用することで、クラウド側とデバイス側の両方ですぐに利用できます。接続の詳細を抽象化し、迅速な開発を可能にします。また、FOTA機能により製造スケジュールの前倒しが可能となり、運用中のデバイスにソフトウェア アップデートをリリースすることができます。
スケーラビリティ
nRF Cloudデバイス管理は、お客様のビジネスと共に成長します。試験運用の数台のデバイスから、本番展開の数千台のデバイスまでお客様をサポートします。
将来性
最適化、セキュリティ、アップデートを維持することで、運用中のデバイスの寿命を延ばします。
nRF Cloudデバイス管理
オンボーディング
オンボーディングは、nRF Cloudデバイス管理へのデバイスのセキュリティ接続と登録のプロセスです。オンボーディングの方法にはいくつかあります:
- 自動オンボーディング: セキュアなプロビジョニング プロセス中に、デバイスを自動的にオンボーディングします(要求されたデバイス)
- 事前接続:CA証明書を使って初回接続前にデバイスを追加します
設定
デバイスの状態やパラメータの変更を可能にし、最適な動作を確保します。これは、ユーザーとの相互作用のない、クラウドのみに接続するデバイスにとって不可欠な機能です (スマートシティ、資産追跡)。
- 常に利用可能: デバイスがオンラインでなくても最新の報告状態を確認できます。nRF Cloudは常にデバイスのデジタル表示(Shadow)を保存しています。
- フィルタ処理とグループ化: サーバー側のメタデータによってデバイスをグループ化し、フィルタをかけて特定のデバイスやグループを見つけることができます。
- デバイスの状態のスナップショット: 報告されたデバイスの最新の設定(デバイス内にあるもの)を常に把握し、望ましい設定(デバイス内にあるべきもの)とします。
- シャドウデルタ: デバイスは、全設定値または設定値のデルタ(あるべき値と実際の値)を要求し、最新の変更点のみを取得することで、消費電力とデータコストを節約できます。
- シュート アンド フォゲット: 必要に応じていつでも設定を更新します。デバイスは次回接続時に更新されます。
監視
IoTフリート全体または個々のデバイスの状態を監視し、問題に迅速に対応することで、運用アップタイムを最大化します。
- クラウド開発不要: クラウド側の実装は完了しています。nRFクラウドポータルでIoTフリートからのアラートの監視を開始するだけです。
- 容易なファームウェア開発: nRF Connect SDKには、アラートを送信するためのライブラリが含まれており、ロギング フレームワークを活用しています。そのため、アプリケーションに集中することができます。
- リモート設定が可能: ログレベルをリモートで設定できます。例えば、アラート後にはログレベルを上げて詳細を取得し、解決後はレベルを下げて電力を節約できます。
- 履歴: アラートとログはnRF Cloudに30日間保存されます。
- フリートからデバイスへ: 新しいアラートのフリートレベルの概要を取得し、デバイスの詳細でデバイスごとのアラートと履歴にアクセスできます。
FOTA (Firmware Over The Air)
FOTAは、運用中のIoTデバイスの将来性を確保するために不可欠な機能です。
- 市場投入までの期間を短縮: 最小限の機能セットでデバイスの製造と出荷を開始し、フィールドで運用中のデバイスに後から新機能を展開可能です。
- 完全な制御: デバイスのグループまたは個々のデバイスを更新し、別々のターゲットに対して異なる展開を管理できます。
- 柔軟でスケーラブル: 小規模な実験的展開から始め、進捗状況を監視して報告を収集してから、大規模なフルロールアウトを開始できます。
- 容易な設置: 新規に設置するデバイスは、どんなバージョンのファームウェアを書き込んでも構いません。初回接続時に、自動的に最新のファームウェアに更新されます。
- 強化されたセキュリティと長寿命: 定期的なアップデートにより、デバイスのセキュリティと機能性を長期間維持します。
データ収集
IoTは基本的にデータを重視します
フィールドで運用中のデバイスはデータを収集します。ローカル処理は効率的ですが、その範囲は限られています。データをクラウドに送信して大規模に分析し、より大きな価値を生み出す必要があります。デバイス管理は、IoTデバイスの動作を最適な状態に保ち、データの継続的なフローを保証します。
nRF Cloudのデータ収集機能により、デバイスは運用データとアプリケーション データの両方をnRF Cloudに送信できます。アプリケーション ロジックに集中できるように接続の詳細を抽象化し、統一されたインターフェイスを使用することで、最小の消費電力と最もシンプルな実装を実現します。