Bluetooth LE、Wi-Fi 6、セルラーIoTは、低消費電力IoTデバイスの接続を可能にしています。これらのプロトコルを実行するNordicのSoC、コンパニオンIC、SiPは、市場で最も電力効率の高い無線ソリューションに含まれており、IoT機器のバッテリ寿命を延ばしています。
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しかし、電力管理には効率的なチップだけでは不十分です。バッテリや主電源からの電力は調整、分配する必要があります。デバイスが充電式バッテリで駆動されている場合、充電も必要です。つまり、無線チップ内のプロセッサ、無線モジュール、メモリがどれだけ高効率でも、電源管理系が最適化されていなければバッテリ寿命が短くなるということです。
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小型の電源管理系を1つの小さなパッケージで構築
効率的な電源管理系を構築することはそれだけでも難しいことですが、それを小型に設計するのはさらに困難です。多くのIoT製品では小型化が求められますが、従来の電源管理ソリューションは複数のチップ(電圧レギュレータ、バッテリ充電器、バッテリ残量表示、外部ウォッチドッグ、ハードリセット等)で構成されており、貴重な空間を使用してしまいます。
Nordicは、電源管理IC (PMIC)のnPMファミリで、電源管理における効率と占有空間という課題を両方解決しました。このファミリは、nPM6001 (6つの独立制御電源電圧が特長)、nPM1100 (デュアルモードの構成可能な降圧レギュレータと内蔵バッテリ充電器)、nPM1300、最新のnPM2100で構成されています。このPMICは最大効率と小型化に向けて最適化されており、信頼性の高い動作に必須の機能を1つの小型パッケージに集積することで、シンプルなシステム設計を可能にします。
nPM1300によるインテリジェントな電源管理
nPM1300は5 mm × 5mm (QFN32)または3.1 mm × 2.4mm (WLCSP)という小型パッケージで提供され、2個の降圧コンバータ、2個のロードスイッチ、バッテリ充電器、USB-C互換入力、シップモード、バッテリ残量ゲージを内蔵しています。これにより、最大8個のチップと関連受動素子から、1個のチップと数個の受動素子へと電源管理がシンプルになります。
PMICは、回路の高度な集積に加え、従来の電源管理回路では別途追加する必要があった重要なシステム管理機能も提供します。そのような機能には、ブート失敗時のリカバリ、ハードリセット、消費電力を節約するハイバネーション モード、ウォッチドッグ タイマ、電源喪失警告などの重要な機能が含まれます。
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できるだけ電力を消費せずに正確なバッテリ残量を表示
IoTデバイスのバッテリ残量を正確に把握することは、消費者にとって非常に有益です。通常、残存電力量の代わりになるものとしてバッテリ電圧の計測値が示されます。より正確な値を求めるには、クーロンカウンタ (バッテリに流入・流出する電流を常時計測し、セルの総充電量を求めるデバイス)を使用します。
バッテリ電圧の計測は実装が簡単で消費電力も少ないのですが、特にバッテリ温度が変化すると精度が下がります。クーロンカウンタはそれより正確ですが、追加部品が必要で消費電力も増えます。nPM1300は、バッテリ電圧計測のシンプルさと消費電力の少なさ、クーロンカウンタの精度の高さを併せ持った高精度のバッテリ残量計を内蔵しています。
Nordicでは、クーロンカウンタ、バッテリ電圧計測、nPM1300のバッテリ残量計を比較する実験を行いました。クーロンカウンタとの比較で、バッテリ電圧計測を用いた場合の誤差は最大20%でした。これに対し、nPM1300のバッテリ残量計は、クーロンカウンタとの比較で最大2%の誤差しか示さず、誤差のほとんどは1%以内でした。
ソフトウェアによるバッテリ残量計測
Nordicのバッテリ残量計が広い温度レンジに渡って高い精度を保つ鍵は、ホストプロセッサによるソフトウェア アルゴリズムにあります。プロセッサは、バッテリが放出する電流、バッテリ端子電圧、システム電圧、バッテリ温度サーミスタの読み値などの情報を使用します。
このアルゴリズムが正確な結果を出すには、まずバッテリの特性を「教える」必要があります。最終製品が別の種類のバッテリを使わない限り、この作業を再度行う必要はありません。この作業には、適切な抵抗負荷を提供するバッテリ残量計ボードを備えたNordic評価キット(EK)とNordic nPM PowerUPアプリケーションを使用します。
校正を行い、電流・電圧・温度を入力することで、ホストプロセッサはNordicが開発したアルゴリズムを使用してバッテリの充電状態を正確に求めます。計測周期を1秒とした場合の消費電力は、ホストプロセッサの代表的オーバーヘッドに約4 μAを追加します。
バッテリからアンテナまでの電力管理
バッテリ寿命を最大化するには、無線製品のシステム各部が消費電力全体にどのように影響するかについて責任を持つことが必要です。開発にあたっては、電源から最大限の力を引き出すため、バッテリからクラウドへの接続に至るまで、無線モジュールの動作、処理、電源管理など、全ての要素を最適化する必要があります。
詳しく: セルラーの展開をより容易に
市場で最も低消費電力の無線チップに含まれるNordicのSoCまたはSiPと、NordicのnPM6001、nPM1100、nPM1300、最新のnPM2100を組み合わせて設計を行うことは、無線製品の消費電力を可能な限り低く抑えるための優れた基礎となります。
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